中学生諸君よ。二度とない人生、一度だけの人生をむだにしてはなりません。ほんとうの人生、実り豊かな人生を生きなければなりません。君たちに、ほんとうの幸せな人生、ほんとうの楽しい人生を送ってもらうために、次の言葉を贈ります。

 

中学生と黒住教(その1)進学について

 


1.今の日本の状況

先生:今の日本はほんとうになげかわしい状況にあります。日本の永い歴史の中でも、これほど暗い時代はなかったのではないかと思われるほどです。

生徒A:今の日本は暗いとは思われませんが・・・。

先生:たしかに昔とくらべて、科学や技術が進歩していて便利だし、物も豊かです。表面的には明るいように見えますが、心の中は暗い状況にあると言わなければなりません。

生徒B:心が暗いとはどういう事ですか。

先生:道徳心が低いということです。

生徒C:どうして道徳心が低いと言われるのですか。

先生:日本のいろいろの面にその現れを見るからです。たとえば、教育の面で言えば、すでに20数年以上も前から「教育の荒廃」という事が言われてきました。荒廃とは、荒れすさむこと、心が荒れる事です。心の荒廃はまず家庭内暴力、校内暴力として、現れました。子供が親に暴力をふるい、親を殺す事さえありました。生徒が学校のいろいろの物をこわし、生徒が生徒に暴力をふるい、最近は生徒が生徒を殺したり、先生を殺したりする事件さえ起きています。また最近では学校で「いじめ」が行われ、その為に何人もの児童や生徒が自殺をし、今でもその事が続いています。ごく最近では、「学級崩壊」という事が問題になっています。授業中なのに勝手におしゃべりをしたり、教室の中を歩きまわったり、廊下へ出て遊んだりするという事が起きています。先生が注意するとかえって先生に反抗したり、しまいには先生を刺し殺すという事件さえ起きています。こういう事は、以前にはなかった事です。また自分の子供を虐待するという事が行われています。平成10年度にはわかっているだけでも3900件、これは8年前の6倍という数字だそうです。動物でさえ子供を可愛がり、いっしょうけんめい育て、自分をぎせいにしてまで、子供を守ろうとするというのにです。高級官僚や経済界のトップの多くの人たちが悪い事をしています。エイズに汚染されている血液と知りながら会社はそれを売り、厚生省の責任ある人がそれを禁止しようともしなかったのです。最近起こった茨城県東海村の臨界事故も、その代表的な例の一つです。責任感がなく、自己中心、利益中心で、人の命さえ軽く見るという風潮が、今の日本には見られるのです。日本は今こういう状況にあるという事を、皆さんは知らなければならないと思います。

生徒D:どうして日本は、そのようになったのでしょうか。

先生:その事を考える前にちょっとことわっておきますが、私がこのように言うのは、日本人全体がそうなっていると言っているのではありません。そういう傾向があると言っているだけです。りっぱな人間、人間としてすぐれている人はたくさんいます。この事はまちがいのない事なので、誤解のないようにしていただきたいと思います。話をもとへ戻しましょう。さて、第2次世界大戦によって多くの日本人は、食べるにも食物がなく、住むにも家がなく、着るにも着る物がないといった状態になりました。そこで、終戦後日本は、先ず何よりもけいざいの復興をしなければなりませんでした。日本人はいっしょうけんめい働きました。おかげで日本は世界の中でも経済大国と言われるぐらいになり、物が豊かで食べるにも着るにも住むにも、ほとんど不自由をしなくなりました。しかし、物が豊かになった分だけ心は貧しくなりました。ただ働くだけ、お金をもうけるだけ、楽な生活をする事だけに心をうばわれ、人間はどう生きる事が正しい事なのか、については考えなくなりました。それに加えて、終戦後は心よりも物のほうが大事であるという思想がヨーロッパやソ連から入ってきて、日本人の中の多くの人たちが、それが進んだ考え方であると思うようになりました。先生方の中にもそのような考え方をする人が多くいて、生徒たちもその影響を受けるようになりました。そのために、心を大事にする宗教はおろそかにされ、ほんとうの道徳心がおとろえるようになったのです。また、学校の教育の面では、よい高校、よい大学(とは言っても偏差値の高い学校の事ですが)へ入る事が、将来楽な生活ができるという考えから、進学競争がさかんになり、偏差値の高い事が大事にされ、心の事、人間はどう生きるべきであるか、という事は大事にされなくなってしまったのです。

生徒E:なるほど。よくわかりました。それでは、私たちはどのようにしたらよいのでしょうか。

先生:まず君たちがこのような時代に生きているという事を知るという事、それから、人生の基礎を築く大事な時期に、人間としてのほんとうの生き方とはどういうものであるか、人間のほんとうの幸せや楽しみというものはどこにあるのかという事をよく知って、君たち自身の人生を実り豊かなものにすると同時に、日本という国を明るい国、住みよい国にするように努力するという事が大事であると思います。そのために、君たちが今さしかかっている、またさしかかるであろう次の問題についてみんなで考える事にしましょう。

  


2.中学生の生き方

 

(1)何のために勉強するのか 

先生:あなたは毎日勉強をしていると思いますが、それは何のためですか。

生徒A:学校があるからです。

先生:なるほど。それもそうだな。

生徒B:勉強はしなければならないからです。

先生:どうして勉強はしなければならないのですか。

生徒B:勉強するのはあたりまえですし、勉強しないと成績が落ちるからです。

先生:なるほど、それもそうだな。

生徒C:勉強しないと親が叱るし、先生にも叱られるからです。

先生:どうして叱るのですか。

生徒C:怠けるのはよくない事ですし、将来大人になって困るからだと思います。

先生:そうですね。よくわかっていますね。

生徒D:高校へ入りたいからです。

先生:なるほど。

生徒E:よい高校へ入りたいからです。

先生:なるほど・・・。たしかに現在は、中学生が高校へ進学するのはあたりまえのようになりました。しかし、ただ高校へ入ればよいというものではないのではないでしょうか。そこには何か目的があるのではないでしょうか。次にこの事について考えてみましょう。 


(2)何のために高校へ進学するのか

先生:君たちは何のために高校へ進学しようとしているのですか。

生徒A:みんなが高校へ行くからです。

先生:ん・・・。それでよいかな。それでは主体性がないのではないかな。

生徒B:ただなんとなく・・・。

先生:それもA君とおなじだな。何か目的というものはないのかな。

生徒C:高校へ行かないと就職ができないから。

先生:それもそうだな。たしかにそういうところもあるな。

生徒D:高校へ行かないと専門学校へ入れないからです。

先生:それもそうだな。

生徒E:より高い知識や技術を身につけたいからです。

先生:なるほど。それは大事な事だ。この事については後でゆっくり考える事にしましょう。

生徒F:高校へ行かないと大学へ進めないからです。

先生:それもその通りでまちがいありませんね。だいたい君たちの考えている事は分かりました。が、君たちの中に「何のために勉強するか」という問いに対して「よい高校へ入りたいから」と答える人がいました。その事についてもう少しみんなで考えてみましょう。 


(3)何のためによい高校へ入るのか

先生:E君、君は何のためによい高校へ入りたいのですか。

生徒E:よい大学へ入りたいからです。

先生:なるほど。よい高校、よい大学ね。ところでよい高校、よい大学とは有名高校、有名大学のことですか。

生徒E:はい、そうです。

先生:どうして有名高校や有名大学へ入りたいのですか。

生徒E:優越感が味わえるからです。

先生:なるほど、正直ですね。それだけですか。

生徒E:よい会社、一流会社へ就職したいからです。

先生:なぜ一流会社へ就職するのですか。

生徒E:収入が多いし、将来楽な生活ができるからです。

先生:なるほどね。しかし、現在は一流会社といってもあやしくなっていますがね。

生徒F:自分の素質を十分伸ばし、やりたい仕事を将来やるためではないでしょうか。

先生:それはすばらしい考え方だと思います。次にもっと大事な事について考えてみましょう。 


(4)ほんとうの幸せや楽しみはどこにあるか

先生:君たちは、高校や専門学校に入るために勉強すると言いました。中には高い収入を得て楽な生活をするためによい大学へ入りたいと言う人もいました。他の皆さんもできればそうしたいのではないでしょうか。

皆 :そうだと思います。

先生:突き詰めて行けば。要するに、皆楽な生活がしたい、幸せになりたいというのが本音ではないでしょうか。

皆 :そうだと思います。

先生:その楽しみや幸せを手に入れたいために高校へ、できればよい高校、よい大学へ入りたいのですね。

皆 :そうです。

先生:しかし、そこには大きな問題があります。

生徒A:それはどういう問題ですか。

先生:人間の幸せや楽しみというものは、有名高校や有名大学へ入る事、あるいはまたたくさんのお金や財産がある事、さらには地位が高い事や有名である事にあると皆が思っている事は正しい考え方であるかどうかと言う問題です。あなた方はどう思いますか。

生徒B:有名高校や有名大学に入ればうれしいし、物やお金がたくさんあれば楽しい生活ができ、幸せになれると言う事は事実ではないでしょうか。

先生:たしかにそう言う面がある事は事実です。しかし問題は次の事にあるのです。つまり、有名高校や有名大学に入る事や、物やお金がたくさんある事にしか人間の楽しみも幸せもないと考えることです。

生徒C:では、ほかのどういうところに人間の楽しみや幸せがあるのですか。

先生:人間のほんとうの楽しみも幸せも、あなた自身の中にあるのです。あなたがたの中には、すばらしい宝、どんな金銀財宝にもまさる、これ以上のものはないという宝があるのです。その宝を見つける事ができれば、君たちは、そして人間は誰でも皆最高に幸せになれるし、最高の楽しみを手に入れる事ができるのです。

生徒D:その宝とはいったい何の事ですか。

先生:あんた方の中のほんとうの心、まことの心、神の心です。それはじっさいにあるのですが、なかなか見つけられないし、それがどんなものか、どうしたら見つける事ができるか教えてくれる人もなかなかいない。 


(5)人生の目的は何か

先生:人生の目的というのは、あなた方の中にあるそのまことの心、神の心を見つけて、その心で生きる事によって、ほんとうの幸せ、ほんとうの楽しみを手に入れる事にあるのです。

生徒E:まことの心、神の心で生きればどうして楽しく、そして幸せになれるのですか。

先生:まことの心、神の心で生き、人のため世の人のためにつくす事ができれば、心は安らぎほんとうの楽しみや幸せが得られるのですが、まことの心、神の心から外れて生きる人は、心が不安になり、苦しみの多い不幸な人生を送る事になるのです。これは天地の法則です。

生徒F:もう少しくわしくお話してください。

先生:すぐれた才能によって高い学歴をもち、多くの知識や技術を身につけたとしても、それを悪い方へ使ってお金をもうけたり、財産をつくったりして、巨大な富をきずいても、其の事によって多くの人々に迷惑をかけ、世の中に害毒を流すような事をすれば、その人の心の中にはほんとうの安らぎもなければ、ほんとうのうれしさも喜びもなく、心の底から幸せというものは感じられないと思います。しかし、高校や専門学校あるいは大学などで学んだ知識や技術を、まことの心、神の心で生かして、世のため人のためにつくしたならば、その人の心は、ほんとうの心の底から湧き出てくるうれしさや喜びにみたされ、ほんとうの幸せというものを感じ、ほんとうの楽しい人生を送る事ができるのです。物や金は使ってしまえば無くなるし、人に盗まれはしないかなどと不安や心配は絶える事はないけれど、まことの心、神の心と言うものは、使えば使うほど豊かになり、心はいっそう喜びや楽しみに満たされるようになるものです。

生徒F:なるほど。

先生:以上の事から、よい高校、よい大学とはどういうものか、また、りっぱな人間とはどういうものもわかるのではないでしょうか。 


(6)よい高校、よい大学とは

生徒A:よい高校、よい大学とはどういう学校の事ですか。

先生:よい高校、よい大学とは、有名高校とか有名大学あるいは一流高校、一流大学とかというようなものではなく、あなた方一人ひとりにとって、あなた方自身の能力や個性を十分に伸ばす事のできる、あなた自身に最も合った学校の事です。

皆 :なるほど。 


(7)りっぱな人間とは

生徒B:それでは、りっぱな人間とはどういう人間の事ですか。

先生:りっぱな人間とは、頭のいい人間、知識をたくさん持っている人間、高い技術力を持っている人間の事でしょうか。

生徒B:違うと思います。

先生:それでは地位の高い人でしょうか。

生徒C:違うと思います。

先生:お金や財産をたくさん持っている人でしょうか。

生徒D:ちがうと思います。

先生:それではどういう人がりっぱな人間と言えるのでしょうか。

生徒E:自分の持っている能力、知識、技術、お金や財産などを生かして、世のため人のために尽くす人間の事です。

先生:そうですね。特に大事な事は、人間としてのまことの心、神の心を持つ事です。その心を持てば、人はしぜんと自分の持っている能力をできるだけ伸ばし、それを世のため人のために使うようになるのです。そうする事によって、その人は心の底から喜びやうれしさを感じ、ほんとうの幸せを感じ、ほんとうの楽しい人生を送る事ができるのです。そのような人こそりっぱな人間と言えるのではないでしょうか。

皆 :よくわかりました。

先生:今の日本人の多くは、本当の生き方、ほんとうの楽しみ、ほんとうの幸せをもとめようとはしていません。このような時代の中になって、人生の基礎をきずかねばならない大事な時期にあり、そして将来の日本を背負っていかねばならない中学生諸君よ。どうか、ほんとうの生き方、ほんとうの幸せ、ほんとうの楽しみとはどういうものかを知っって、それを自ら手に入れるとともに、これからの日本を明るい、そして住みよい日本にするように努めていただきたい。

皆 :ありがとうございました。

先生:次回は「神の心」について、くわしく見て行くことにしましょう。  

(終り)