10月の御教え
 

我が物は一つだになし身も家も 着物(おし)物みな神の物

  (河上忠晶高弟詠)


《解説》


 世の中はすべて相互依存の関係にあります。素粒子レベルのミクロの世界から果てしない宇宙規模のマクロの世界に至るまで、時間的にも空間的にも、何もかもが常に直接的または間接的に影響を及ぼし合っていることは、科学も宗教も共通して認めるところです。身近な次元で考えても、個人レベルの人間関係や日常生活も、国際的な政治・経済活動やグローバルな情報社会も、地球規模の生態系や気象状況も、「作用・反作用」・「因果応報」・「持ちつ持たれつ」が不変・普遍の原理原則であることは、誰でも知っています。にもかかわらず、私たちは、そんな「あたりまえ」を、つい忘れてしまいがちです。


 いま、地球上で人類が直面する最も深刻な問題の一つが「南北問題」といわれる途上国と先進国の間の経済格差です。それは、いわゆる市場経済の問題にとどまらず、人口爆発と人口減少の不均衡、すなわち食糧危機の問題であり、地球規模の気候変動を引き起こしている環境問題でもあります。また、概して民族や宗教の違いが原因といわれる各地の紛争も、そもそもの発端は、何らかの外的な要因によって優劣がつけられて、結果的に共存できない状況に追い込まれた人々の絶望感と不平等感がもたらす悲劇であって、民族や宗教の違いそのものが直接原因ではありません。その外的な要因が、かつての植民地の宗主国、すなわち現在の先進国によってもたらされた場合が多いことを考えると、地域紛争も「南北問題」に通じると考えられます。


現在、経済的・物質的に恵まれた環境にある私たちですが、それが永遠に続く保障は何もありませんし、今の恩恵自体が途上国を含む他の国々やその他の存在に依存していることを、冷静に客観的に、そして長期的な視野に立って直視できる日本人であらなければならないはずです。今や“国際語”となった「もったいない」を、地球環境と消費経済の用語にとどめず、本来の“感謝の言葉”として復活させることで、すべては神々の恵みと慎ましく生きてきた先人の知恵を学びたいものです。